情報通信政策研究
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立案担当者解説
電波法の一部を改正する法律
堀口 裕記山内 匠坂本 光英増子 喬紀
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2020 年 4 巻 1 号 p. 159-173

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抄録

第201回通常国会において成立した「電波法の一部を改正する法律」は、Society 5.0の基盤となる電波の有効利用を促進するため、周波数の能率的な利用や安心・安全な電波利用環境の構築に必要な所要の措置を講ずるものである。

具体的には、①電波有効利用促進センターの業務の追加、②特定基地局開設料に関する制度の対象となる特定基地局の追加、③技術基準に適合しない無線設備に関する勧告等に関する制度の整備、④衛星基幹放送の受信環境の整備に関する電波利用料の使途の特例に係る期限の延長の措置を講ずる。

①については、電波有効利用促進センターの業務として、他の無線局と周波数を共用する無線局を当該他の無線局に妨害を与えずに運用するために必要な事項について照会に応ずる業務を追加する。電波有効利用促進センターとは、電波の有効かつ適正な利用に寄与することを目的とする一般社団法人又は一般財団法人であって、総務大臣がその申請により指定するものであり、総務大臣から情報提供を受けて、無線局の開設等に際し必要となる事項に関する照会・相談に応ずる業務等を実施している。

②については、特定基地局開設料に関する制度の対象として、移動受信用地上基幹放送をする特定基地局を追加する。特定基地局開設料に関する制度とは、申請者が電波の経済的価値を踏まえて開設計画に記載した特定基地局開設料の額を考慮して開設計画の認定をする制度である。

③については、技術基準に適合しない無線設備(不適合設備)が他の無線局の運用を著しく阻害するような妨害を与えた場合に加え、不適合設備を使用する無線局が開設されたならば、他の無線局の運用を著しく阻害するような妨害を与えるおそれがあると認める場合は、無線設備の製造業者、輸入業者又は販売業者に対して必要な措置を勧告できるようにする。

④については、衛星基幹放送の受信環境の整備に関する電波利用料の使途の特例について、平成32年(令和2年)3月31日までとされている期限を令和4年3月31日まで延長する。

なお、①は令和3年4月1日から、③は公布の日から起算して9月を超えない範囲内において政令で定める日から、②及び④は公布の日から施行することとしている。

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