目的:愛知県「救急体制の整備に関する基本指針」標準化外傷分科会では,外傷に対する救急隊活動の現状を把握するため,基礎データとなる外傷活動調査を実施した。方法:県下各ブロックの5つの救命救急センターに2007年7月の1ヶ月間に搬送された全外傷患者480例を対象とし,救急隊が搬送時に状況評価,初期評価,全身観察,ロードアンドゴー(以下L&G)判断,施行した処置などを調査票に記入,後日医療機関が診断名,ISSなどの重症度や転帰を記入して検証を行った。結果:救急隊の状況評価,初期評価,全身観察におけるL&Gの判断精度はそれぞれ78%,81%,55%,L&G判断時に必要な全脊柱固定,酸素投与,頸椎固定の3つの処置の実施率は初期評価, もしくは全身観察でL&Gとなった群では66.6~80.6%,状況評価でL&Gとなった群では40~72.5%と不充分な結果であった。結論:救急隊の外傷教育では,高エネルギー事故や生理学的徴候の評価の仕方,L&G判断時の必要な処置について重点的に指導する必要がある。