日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
名古屋市における院外CPA症例における病院前薬剤投与の現状と課題
白子 隆志野口 宏荒木 恒敏上山 昌史北川 喜己竹内 昭憲高橋 立夫花木 芳洋河内 健二
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2010 年 13 巻 3 号 p. 341-348

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抄録

名古屋市の病院外心肺停止(以下,院外CPA)症例に対する救急救命士薬剤投与の現状と予後に与える影響を調査した。平成19年の名古屋市院外CPAは1,862例(心原性62%)で,愛知県救急隊心肺蘇生法プロトコールの薬剤投与適応症例は957例(51%),うち薬剤投与認定救急救命士(以下,薬剤救命士)同乗は486例(26%),薬剤投与実施は146例(8%)であった。薬剤救命士同乗での非実施症例は340例であり,穿刺困難などスキル面での理由が50%を超えた。全心拍再開は629例(34%),入院372例(20%),社会復帰52例(3%)であった。院外心拍再開179例では,入院129例(72%),1ヶ月生存75例(42%),社会復帰44例(25%)で,入院後心拍再開例よりも有意に高率であった。薬剤投与症例の院外と入院後心拍再開では,1ヶ月生存,社会復帰で有意差を認めなかったが,薬剤救命士同乗隊の心拍再開率,社会復帰率も包括救命士隊よりも有意に高値であった。今後,薬剤投与症例の増加と予後の改善には,薬剤救命士の増員,バイスタンダーCPRの普及,救急隊員病院実習でのスキル向上,チーム訓練での時間短縮などが必要であると考えられた。

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© 2010 日本臨床救急医学会
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