2010 年 13 巻 3 号 p. 410-415
症例は22歳の男性。気管支喘息重篤発作による著明な高炭酸ガス血症および呼吸性アシドーシスを認め,ショックで生命の危機に瀕していた。患者の所在地から当院まで直線距離は約55kmで所要時間70分以上と推定されたため,救急車によるドッキング搬送を行った。ドッキング後,ただちに緊急処置を開始するとともに病院へ情報伝達し,病院到着後ただちに集中治療室へ搬入した。内科的薬物治療に反応が乏しかったため,膜型人工肺およびイソフルレン吸入麻酔などの集中治療を行い,その後呼吸状態の改善が得られ,第15病日に神経学的後遺症を残さず退院となった。病院到着前から集中治療までの一連のスムーズな治療の連携が奏功したと考えられた症例であり,若干の文献的考察を加えて報告する。