日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
脳卒中病院前救護(PSLS:Prehospital Stroke Life Support)コースの消防学校専科教育救急科への導入と検討
―香川県消防学校での試み―
中村 丈洋細見 直永黒田 泰弘東條 仁田宮 隆奥寺 敬
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2010 年 13 巻 4 号 p. 505-511

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抄録

目的:脳梗塞の決定的な治療であるrt-PAが2005年10月より保険適応になり,脳卒中初期対応の重要性が認識されるようになった。日本臨床救急医学会が中心となり脳卒中病院前救護(PSLS)コースが開発され,全国的に学会併設などで開催されている。しかし,地域医療の向上が目的でもあるので,地域での定期開催が理想である。地方ではコース開催が限られており,受講が制限される現状がある。その解決策の1つとして,著者らは消防学校における教育にPSLSコースを導入し検討を行ったので報告する。方法:半日3時間半のコースの設定とし,学習項目を「初期評価ABC」,「意識障害の評価」,「病院前脳卒中スケール」,「症例検討(ケースシミュレーション)」とした。各学習項目で到達目標を設定し実習を行った。また研修終了後にアンケート調査を実施した。結果:項目別目標到達度は,「初期評価ABC」:91%,「意識障害の評価」:89%,「病院前脳卒中スケール」88%,「症例検討(ケースシミュレーション)」83%であった。結論:今回,救急隊員対象のコースを消防学校学生向けに改変して実施し,初めての試みであったが,各学習目標の到達度が80%を超えたことから開催の意義はあったと思われる。今後も,改良を行い継続していく必要がある。

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© 2010 日本臨床救急医学会
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