日本臨床救急医学会雑誌
Online ISSN : 2187-9001
Print ISSN : 1345-0581
ISSN-L : 1345-0581
症例報告
活性型第Ⅶ因子が著効したⅢb型肝損傷の1救命例
本田 真広岡村 宏井上 健
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 13 巻 4 号 p. 534-540

詳細
抄録

症例は21歳,女性。後部座席に乗車中後ろからバスが追突し受傷。近医で肝損傷,脾損傷,骨盤骨折および上肢骨折を指摘され,受傷後約6時間後に当院へ紹介搬入となった。直ちに濃厚赤血球の大量投与を開始し,一時的に循環動態が安定したため造影CTを施行。左葉・尾状葉のⅢb型肝損傷および左葉・肝門部・肝後面下大静月サR背側・右恥骨内側 にextravasationを認め,TAE後に開腹ガーゼパッキングを施行しsilo closureとした。術後ドレーンからの出血が多量で,低体温と凝固障害に伴う止血制御不能が強く疑われた。大量輸血投与および低体温の補正を行うも止血せず,活性型第Ⅶ因子製剤の投与で止血し得た。イスラエルでは外傷における緊急出血に対して本剤の使用が承認されているが,外科的処置および輸血を行い,かつアシドーシスと低体温の補正を行っても止血できない症例に投与すべきとされている。今後日本でも本剤の適切な使用のため,ガイドラインの作成が必要であろう。

著者関連情報
© 2010 日本臨床救急医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top