2010 年 13 巻 4 号 p. 541-544
カルバマゼピン(テグレトールTM)の過量服薬による急性中毒に伴って伝導障害を呈した若年の症例を経験したので報告する。症例:20歳代,女性。境界型人格障害の診断で精神科へ通院中。衝動的にカルバマゼピン9,800mgを服用し,当院救命救急センターヘ搬送となった。来院時,高度意識障害と嘔吐を認め,気管挿管後に胃洗浄し集中治療室へ収容して人工呼吸器管理を行った。来院時心電図は正常であったが,カルバマゼピン血中濃度の上昇に伴い伝導障害がみられ,血中濃度の低下とともに正常化した。意識障害もカルバマゼピン血中濃度の低下とともに改善して第4病日には意識清明となり,第7病日精神科病院へ転院となった。結語:カルバマゼピンの過量服薬による急性薬物中毒の患者では,長期服用者や高齢・心疾患などの危険因子をもつ症例と同様に,経時的な血中濃度とECGの測定が必要と考えられた。