2010 年 13 巻 4 号 p. 568-572
院外心肺停止に対し,病院到着前から低体温療法を開始した。50歳代男性が仕事中に卒倒,心肺停止と判断され,バイスタンダーによる一次救命処置が行われた。ドクターカーが救急隊より先に現場に到着し,救命処置を継続した。さらに,冷却した生理食塩水を点滴し,低体温療法を導入した。病院到着後(心停止より約35分後)に自己心拍再開し,体外循環回路を用いて低体温療法を継続した。心拍再開110分後に深部体温は34.0度に達した。低体温療法終了後は,意識回復し,人工呼吸器を離脱した。心停止の原因は,冠動脈造影により心筋梗塞と診断され,経皮的冠動脈形成術の後,退院となった。神経学的後遺症を残さず,退院後には社会復帰が可能であった。病院到着前から救命処置と並行して低体温療法を導入することは,神経学的予後の改善に寄与する可能性がある。