日本臨床救急医学会雑誌
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原著
女性医師の人材活用についてのパイロット調査研究:第2報
―勤務条件と社会的支援についての考察―
岡本 博照和田 貴子笠置 康松田 剛明山口 芳裕
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2010 年 13 巻 5 号 p. 590-595

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抄録

女性医師を救急医療現場に活用するのに必要な勤務条件を調査する目的で,平成18年2月~3月にかけて杏林大学同窓会の女性医師638名に対して郵送式調査を行い,救急に従事する意思を表明した女性医師41名の回答について検討・考察した。その多数が希望した勤務条件は,勤務のon-offが明確な交替制勤務(4交替または3交替),平日の日勤,週に1回以内の勤務,外来診療そして一次・二次救急患者の診療,などといった比較的負担の少ない勤務条件であった。このような軽勤務を回答した理由は,女性が働くために必要な社会環境のひとつである託児所や介護施設などが不足し,育児や介護を抱える女性医師が働く時間帯や勤務条件が制限されるためであると考えられた。

しかし,今回の回答は女性医師にとって有利過ぎる勤務条件であり,ほかの医師に勤務の負担を強いるため勤務の公平性を崩す危険がある。救急医療に従事する以上は,最低でも休祭日勤務や深夜勤務にも従事すべきであり,そのためには育児や介護を抱えた女性医師が働くための社会的支援,すなわち託児所や介護施設の増設のほか体祭日や夜間でのサービス利用など,女性が働くために必要な社会的支援の整備が重要と考えられる。

また,常勤医または救急医と一緒に2人以上の体制で勤務する職場環境や医療過誤時の責任を病院側が負う責任体制の構築を望むなどの回答から,職場からの支援の必要性を女性医師が求めていることを示唆していると考えられた。

以上から,救急医療現場に女性医師を活用するには,勤務条件の整備だけでなく,育児・介護問題を支援できる社会環境の整備,そして責任体制などの職場からの支援も大事であると考えられる。

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© 2010 日本臨床救急医学会
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