日本臨床救急医学会雑誌
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症例・事例報告
胸部外傷後11日目に発症した 緊張性気胸によるCPAOAの1例
藤芳 直彦江藤 敏花岡 勅行荒木 雅彦稲葉 晋向井 秀泰嶋村 文彦新田 正和
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2011 年 14 巻 1 号 p. 53-56

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抄録

緊張性気胸による来院時心肺停止の症例を経験した。症例は60歳代,男性。発症11日前に肋骨骨折の既往がある。某日夜間に突然の呼吸困難を自覚し,救急車を要請した。救急車内で心停止となり,心肺蘇生を受けながら来院し,来院時も心肺停止状態であった。気管挿管とアドレナリンの投与にて自己心拍は再開したが,その後の胸部X線写真にて緊張性気胸が明らかになり,脱気と胸腔ドレナージ術を施行した。緊張性気胸の原因が11日前の胸部外傷によるものか不明であるが,救急隊もわれわれも緊張性気胸に対して注意を払っていなかった。日常診療において緊張性気胸による心肺停止を念頭にいれる必要があり,胸部外傷の既往にはとくに注意するべきである。

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© 2011 日本臨床救急医学会
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