日本臨床救急医学会雑誌
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臨床経験
急性胆管炎・胆嚢炎の緊急航空機搬送例の検討
小山 茂城川 雅光加藤 孝征梅沢 翔太郎堀家 英之城野 文武秋本 恵子藤澤 信隆中島 康佐々木 勝
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2012 年 15 巻 4 号 p. 541-545

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抄録

緊急航空機搬送された急性胆管炎・胆嚢炎の症例を,2006年度から2009年度までretrospectiveに検討した。当科が対応した105例の緊急航空機搬送症例中該当症例は27例で,急性胆管炎21例・急性胆嚢炎6例だった。全例が初療開始後24時間以内に搬送要請されていた。重症8例・中等症19例だったが,搬送中に容体の変化をきたした症例はなかった。バイタルサインや血液検査値を現地要請時と着院時とで比較したところ,白血球数・CRP値上昇とアルブミン値低下のほかは,着院時に安定化もしくは改善していた。白血球数の上昇率は,搬送前に抗菌薬未使用例や軽症用の抗菌薬使用例で有意に高かった。14例に緊急で内視鏡的逆行性膵管胆管造影(ERCP)が施行され,1例を除くすべてに緊急胆道ドレナージが施行された。全例が軽快し帰島退院された。急性胆管炎・胆嚢炎は急激に悪化する可能性があり,適切な初期治療や緊急ドレナージが不可欠であるが,今回の検討では搬送前の適切な抗菌薬投与が課題と考えられた。

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© 2012 日本臨床救急医学会
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