背景:外傷パンスキャンは,多発外傷患者の早期全身観察を目的としたCT撮影法であるが,具体的な撮影手順やプロトコールは一部の施設で明らかにされているのみで,学会や研究会を通じた技術的な論議はいまだ不十分である。目的:本研究では,外傷パンスキャンの特徴である,患者がバックボードに固定されたまま撮影されることと,頭から少なくとも骨盤までを連続して撮影するsingle-pass scan法であることに着目し,その被ばくと画質について検討を行った。結果:外傷パンスキャンは被ばくと画質の適正化において問題を有しており,現有のCT機能の改良,ならびに装置の仕様と物理特性をふまえた撮影プロトコールの再構築が必要であった。