2012 年 15 巻 6 号 p. 717-725
背景:わが国の外来患者における重篤な医薬品副作用情報の集積は不十分で,その予防や改善対策の立案と実施が困難となっている。そこで,全国の三次救急施設における重篤な医薬品関連疾患の調査を行った。方法:症例報告用紙等を全国の三次救急施設に郵送し,収集した各症例の情報をコンピューター入力し,解析した。結果:39の施設から1年分の症例が報告された。医薬品関連疾患で最も多かったのは低血糖発作で,次に出血,アレルギー反応,不整脈の順であった。原因薬物で最も多かったのはインスリンで,次にアスピリン,ワルファリン,グリベンクラミド, グリメピリド,チクロピジン,ジクロフェナクの順であった。ほとんどすべての原因薬は医師が処方し,薬剤師が調剤していた。結論:重篤な医薬品関連疾患を減少させるために,医師・薬剤師がこれらの処方薬の使用状況を重点的に監視し,正しい臨床使用をより適切に指導すべきである。