2012 年 15 巻 6 号 p. 760-764
今回われわれは,6名の一酸化炭素(以下CO)集団中毒への対応を経験した。6名は一軒家の居間で集会を行っており,食事を温めるために練炭を使用したが部屋の換気は行わず,約4時間後に気分不良,めまい,頭痛を自覚し,1名が意識を失ったため救急要請した。救急隊到着時,6名に中毒症状を認めたが意識清明で,いずれも軽症のCO中毒と予測し救急搬送を受け入れた。しかし,病院到着後の動脈血血液ガス分析でのCO-Hb濃度は18.4~29.1%と予測よりも高値で,6名ともに高気圧酸素療法が必要と判断し,当院を含む4施設に6名を振り分けた。幸いにも各施設へ迅速な転送が可能で,中毒発生から数か月が経過するが6名に後遺症はみられていない。本事例の経験から,個々の中毒症状から安易にCO-Hb濃度を予測することや,集団CO中毒においてトリアージ判定することが困難であることを再認識し,他施設との緊密な連携が重要と考えられた。