日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
救急救命士の専門職としての現状と課題
岩橋 勝一最所 純平
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2013 年 16 巻 4 号 p. 576-580

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抄録
救急救命士は医療従事者といわれながら,医師不在の医療機関外で業務を行う特殊性からか,いまだ自立した専門職として認知されていない。救急救命士の今後を考えるうえで,専門職に必要とされる自主性と自立性に焦点をあてたアンケート調査を当消防本部救急救命士に対し実施し,現状と課題を検討した。調査結果では87%が救急救命士は専門職と考えていたが,自己研鑽を実践していたのは54%だった。実践群の90%が専門職として自立していないと考えていたが,未実践群は67%にとどまった。一専門職としての責任の所在については,実践群は自身にあると答えたのに対し,未実践群は組織と答え,有意差を認めた。調査から自主性と責任感を備えた救急救命士が一定存在し,自立すべき専門職の適性を備えていると示唆されたが,さらに専門職として向上する立場を認識すべきと考える。また,受動的で自主性に乏しく組織に責任を委ねるだけの救急救命士の存在は大きな課題である。
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© 2013 日本臨床救急医学会
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