抄録
症例は70代男性,高血圧内服加療中。右大腿部痛を自覚し,近医を受診。翌日,症状悪化のため総合病院を受診し,当科に紹介された。来院時ショック状態。右大腿部の皮膚および皮下,筋膜が壊死しており,壊死性筋膜炎の診断で患部デブリードマンを施行し,A群溶血性連鎖球菌が検出された。ペニシリンGに加え,γグロブリン製剤投与,エンドトキシン吸着療法を行い,術後3 病日からV.A.C. ®ATSシステムを用いて陰圧閉鎖療法を施行した。創部の良好な肉芽を得て,入院31病日に分層植皮術を施行した。劇症型A群溶血性連鎖球菌感染症による四肢壊死性筋膜炎は患肢切断を余儀なくされる場合が多いが,早期デブリードマン後に陰圧閉鎖療法を行い,患肢を温存した症例を経験した。