抄録
頭部外傷後の高次脳機能障害が社会問題になっている。高次脳機能障害の主たる原因は脳血管障害であり,頭部外傷によるものは10%にすぎないが,10 〜20 代では原因の上位に位置している。しかもその症状は血管障害のそれと比べ多彩である。われわれは損傷部位と症状の間の関連について自験例をもとに検討した。2008 年1 月1 日から2009 年12 月31 日までに搬送された頭部外傷患者203 名のうち生存退院できた148 名を対象とし,2 年をめどに高次脳機能評価を,脳の損傷部位はMRI で前頭葉,側頭葉,頭頂葉に分け評価した。118 名で評価が可能であり56 名(47.5%)に高次脳機能障害がみられた。MRI で異常所見がみられる例では高次脳機能障害の発生頻度が高かったが,異常所見がない例でも高次脳機能障害がみられた。損傷部位と症状との間には関連はみられず,MRI で検出できないびまん性脳損傷が発生に関与していると考えられる。