抄録
骨盤骨折を伴わない外傷性腰動脈損傷が原因で出血性ショックとなり,経動脈的塞栓術が奏功した2例を経験した。1例目は80代,女性。乗用車に下肢を踏まれ受傷し,ショック状態で搬送された。左下肢の開放骨折からの出血および腰椎骨折を認め,創外固定の装着後もショックが遷延するため血管造影を行い,右第1,2腰動脈からの出血に対し塞栓術を施行し血圧上昇を得た。2例目も80代,男性。変形性股関節症に病的臼蓋底骨折を合併し他院入院中,肺動脈血栓塞栓症疑いに対しヘパリン化されていた。ベッド柵で左腰部を打撲後,ショック状態となり転院搬送された。CT所見にて左後腹膜血腫内に造影剤の漏出があり,血管造影を行い左腸腰動脈と左第4腰動脈から出血を認め,塞栓術を施行し血圧上昇を得た。ショックを呈する外傷傷病者では,骨盤骨折を認めない場合にも後腹膜血腫の存在に注意し,積極的に経動脈的塞栓術の適応を考慮する必要がある。