抄録
近年の健康ブームに触発され,マラソンに取り組む人が増加している。レースに伴う心肺停止症例も多く報告されるようになってきた。マラソン大会は,42kmに及ぶ長い距離を効率的に監視・救護する必要があり,救護所の設置場所,移動AED隊の編成,連絡体制の整備,救急車両の通路確保など事前の準備が肝要である。青島太平洋マラソンは,2015年12月の大会で29回目となる。フルマラソンには,およそ1万人が参加する。レース中の心肺停止は,2013年に1例あったが,素早い救命処置が施され,社会復帰できた。これも細やかな事前準備の成果だと考えられるが,まだまだ改善する余地もあった。