抄録
北九州市の高齢者救急,とくに介護施設からの救急搬送事案を中心に,年齢区分・事故種別・疾病分類別の傷病程度,施設内応急手当実施率について検討した。介護施設職員による通報件数は,平成20年の3,070件(高齢者搬送の12.8%)から,平成24年は1.8倍の5,444件(18.3%)に増加した。事故種別急病と一般負傷における傷病程度中等症以上の傷病者の割合は,介護施設以外からの搬送に比べ,介護施設からの搬送で有意に高かった(p<0.05)。平成22〜24年の3年間で施設職員による応急手当,AED(automated external defibrillator,自動体外式除細動器)での除細動実施率はそれぞれ80.3%,38.5%で,北九州市民全体の応急手当,AEDでの除細動実施率より高かった(p<0.05)。高齢者救急搬送の適正化には,介護施設の看取り体制の整備が必要である。また,後期高齢者の救命率向上には,すべての介護施設にAEDを設置し,施設内応急手当の充実化を図るべきである。