2016 年 19 巻 4 号 p. 598-603
本県では平成22年末に傷病者の搬送および受け入れの実施に関する基準(以下実施基準)が策定されたが,内因性疾患では明確な観察基準が少なく観察時の判断ツールとしては現実性を欠いた。そこでわれわれは平成26年に一定基準の観察項目を設けた症状別アセスメントシート(以下,シート)を作成し,検証を行った。結果,緊急度・重症度が高いと判断した症例はほぼ適切な医療機関へ搬送が行われていた。一方,観察項目の見直しが必要と考えられ,今回改訂版を作成し再検証を行った。期間中シート使用回数は459回。何らかの観察項目に該当した症例を医療機関側から返却された検証票と比較した。観察項目該当症例の診断結果は中等症以上が153件であった。シートは緊急度・重症度判断の指標として有効であり,重症所見の見落としが少なくなるとの意見を得た。しかし緊急度が低い症例では活用できず,搬送先の選定に迷う中等症症例で有効活用できると考えられた。