日本臨床救急医学会雑誌
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原著
発熱患者の年齢による適切なJTASレベルについての検討
―65歳未満のSIRS診断基準2項目該当は緊急か?準緊急か?―
大屋 聖郎柏 健一郎新庄 貴文三田 直人中森 知毅木下 弘壽
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キーワード: トリアージ, JTAS, 発熱, SIRS, 年齢
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2016 年 19 巻 6 号 p. 711-715

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抄録

目的:JTASによる緊急度判定では,発熱を主訴にSIRS診断基準の2項目以上を満たす場合はJTASレベル2(緊急)に分類されるが,このトリアージレベルが若年者において適切かどうかを検討する。方法:2014年10月から2015年3月の6カ月間に,当センターに独歩来院した成人を対象に,65歳未満の若年群と65歳以上の高齢群の2群に分けて検討した。なおJTASの定める意識,呼吸,循環等が要因でレベル2となった症例は除外した。結果:対象は236例で,上気道感染症とインフルエンザウイルス感染症が約半数を占めていた。入院率は高齢群で45.3%,若年群で12.2% と,それぞれCTASレベル2とレベル4の予測入院率に該当した。また多変量解析による高齢群に対する若年群の入院のオッズ比は0.18(95%CI:0.08-0.43)であった。結論:当センターへ冬季に発熱を主訴に来院し,SIRS 2項目以上を満たす65歳以上は従来どおりJTASレベル2,また同様の症例で65歳未満はJTASレベル3で対応することが妥当である。

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© 2016 日本臨床救急医学会
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