1999 年 2 巻 4 号 p. 423-426
症例:56歳,女性。歩行中にバイクとの接触による転倒で,後頭部ほぼ正中部を強打した。来院時の神経学的所見は,GCS7点(E2V1M4),左不全麻痺を認めた。頭部単純撮影で正中やや右側の後頭骨線状骨折を認め,受傷1時間後のCTで両側基底核に出血を認めた。受傷2時間後,意識レベルの低下を認め,CTで全脳の脳腫脹と血腫の増大を確認した。受傷後15時間では,さらに右側の血腫が増大し,左への正中偏位を来した。そこで右側の基底核出血に対して,CT定位血腫吸引術を施行した後,barbiturate coma therapyを併用し,術後3週目にはGCS14点(E4V4M6)まで回復した。考察:外傷性基底核出血のうち,両側性は比較的まれである。CT定位血腫吸引術により,経時的に増大した血腫を簡便かつ低侵襲に除去することができ,転帰良好であった。