1999 年 2 巻 4 号 p. 427-431
近年,特発性食道破裂は報告例増加に伴い,その疾患概念の認識が広がりつつあるが治療方法はいまだ確立されていない。今回著者らは破裂部の直接縫合閉鎖後に有茎横隔膜弁を用いて補強し,良好な経過を得た症例を経験したので報告する。症例は53歳の男性,平成■年■月■日頃より心窩部痛が持続していたが,■月■日の夜,突然,胸部苦悶感と心窩部痛の増強を認めたため当院へ救急搬送された。胸部CTや食道造影にて特発性食道破裂と診断し,発症より4時間後に緊急手術を施行した。第7肋間で開胸し下部食道左側に約1.5cm大の破裂孔を認めた。破裂部および周囲の挫減,浮腫が強かったための破裂部を二層に縫合した後有茎横隔膜弁を用いて補強を行った。有茎横隔膜弁は広い被覆面積を容易に得ることができ,強靱で弾力性に富む補強材料で直接縫合閉鎖後の補強材料として有用である。