日本臨床救急医学会雑誌
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臨床経験
重症抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連肺腎症候群の臨床的検討
岡田 保誠繁田 正毅稲川 博司坂本 哲也
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キーワード: ANCA, 肺腎症候群, 血漿交換
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1999 年 2 巻 4 号 p. 443-449

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抄録

重症ANCA関連肺腎症候群の治療上の問題点を明らかにする目的で,最近経験した4症例を検討した。来院時心肺機能停止状態で来院した1例を除く3例では,ステロイド療法を中心とする免疫抑制療法とともに血漿交換療法を行った。全例肺出血は著しく,呼吸不全の悪化は急速かつ重篤であった。免疫抑制療法とともに血漿交換療法を行うことにより,肺出血は早期に改善し,1例では寛解を得たが,2例では急性期管理には成功したものの結局は感染合併症による呼吸状態の悪化により死亡した。本疾患の予後を改善するためには,第一に疾患の診断や病勢をより迅速に判断するための臨床検査の確立,第二に臨床的知見の積み重ねを踏まえたより適切で実際的な治療指針の策定が重要であると考えられる。

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© 1999 日本臨床救急医学会
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