日本臨床救急医学会雑誌
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症例
ステロイドパルス療法が有効であった粟粒結核によるARDSの1例
中島 義仁福岡 敏雄真弓 俊彦榊原 陽子横田 修一山田 浩二郎高橋 英夫武澤 純
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1999 年 2 巻 4 号 p. 438-442

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抄録

栗粒結核によるARDS(acute respiratory distress syndrome,急性呼吸窮迫症候群)患者に,ステロイドパルス療法が有効であった症例を経験したので報告する。症例は27歳の女性,全身倦󠄀怠感と肝機能異常にて発症し,当院消化器科に紹介転院となった。胸部X線写真で両側びまん性小粒状影があり呼吸器科に転科した。胸部X線写真より粟粒結核を疑い,抗結核薬開始したが,低酸素血症が続くためICU入室し,気管内挿管後,人工呼吸器を装着した。さらに肺酸素化能が悪化したため,メチルプレドニゾロン1g/日を3日間施行したところ動脈血酸素分圧の著明改善みられた。粟粒結核に,DIC(disseminated intravascular coagulation,播種性血管内凝固症候群)や,呼吸不全を合併すると死亡率が非常に高くなると報告されており,本症例では,早めの抗結核薬投与,DIC対策,呼吸不全に対するステロイドパルス療法が有効であった。ステロイド使用については,議論の分かれるところであり,今後の研究が必要である。

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© 1999 日本臨床救急医学会
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