日本臨床救急医学会雑誌
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症例・事例報告
亜硝酸ナトリウム持続投与がメトヘモグロビン維持に有用だった重症硫化水素中毒の1例
宮本 恭兵加藤 正哉
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2017 年 20 巻 1 号 p. 69-73

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抄録

硫化水素はさまざまな産業の副産物として生じ,しばしば中毒症例が報告されている。今回われわれは農薬タンク内で硫化水素が発生し中毒を発症した症例を経験したので報告する。症例は37歳男性。農薬タンク内の洗浄のため中に入ったところ意識消失し,救急要請となった。現場周辺は硫黄臭があり,ガス検知器で硫化水素が200ppmであった。タンク下部を切断して内部の換気を行ったのち,救助した。石灰硫黄合剤と第一リン酸カルシウムの混合により硫化水素が発生したことが判明した。当院到着時はGlasgow Coma ScaleでE2V2M5と意識障害があり,気管挿管による純酸素投与,亜硝酸ナトリウム投与を行った。亜硝酸ナトリウムは間欠投与より持続投与でメトヘモグロビンの良好な調整が得られた。どちらの投与法でも明らかな副作用は生じなかった。入院3日目に意識状態が改善し,入院6日目に神経学的症状を残さず自宅に退院となった。

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