2017 年 20 巻 5 号 p. 661-665
目的:マンパワーの少ない施設における院内急変対応システムRapid Response System(以下,RRS)導入後5年間の経過について報告すること。対象と方法:対象はRRS導入前の2011年度とRRS導入後の,2012〜2016年の当院の全入院患者。RRS導入前後の変化を検証するため,各年度の新入院患者1,000人当たりのコードブルー件数,死亡退院数および予想しない死亡退院数の推移を調べた。予想しない死亡退院は「死亡前に状態悪化の説明が無い場合」と定義した。結果:RRS導入でコードブルー件数,死亡退院数の減少は認められなかったが,予想しない死亡退院数は有意な減少(RRS導入前56.1→RRS導入1年目24.6,2年目18.5,3年目17.6,4年目14.8,5年目9.1)を認めた(p<0.01)。結論:マンパワーの少ない施設においても,RRS導入により予想しない死亡退院数を減らす可能性が示唆された。