2018 年 21 巻 4 号 p. 612-617
目的:高齢者施設における蘇生処置を含む急変時対応の問題点を明らかにするために検討を行った。対象と方法:宮崎県内の高齢者施設174施設を対象に,急変時対応に関する事前確認,エンディングノートやDNAR(do not attempt resuscitation)意思確認,急変対応マニュアルや救急要請基準の有無などについてアンケート形式で調査を行った。結果:84施設(48.3%)から有効回答を得た。急変時対応は94%が事前に確認していた。エンディングノートは93%が確認していなかった。DNARについては62%が意思確認をしていた。急変対応マニュアルは86%が作成していたが,救急要請基準の作成は54%で,救急要請の判断者は80.5%が施設長,嘱託医,看護師であった。また,急変時に施設車で搬送困難な場合は救急搬送となり,希望の終末期を迎えられない,本人らが終末期医療に関心が薄いという意見もあった。結論:本問題は,施設側の視点に立った問題を解決しないかぎり,いくら国が在宅医療推進の施策を行って在宅医連携強化を掲げても解決は困難と思われた。