2018 年 21 巻 5 号 p. 643-647
福山・府中圏域では7年前より意識障害に対する病院前救護のoff-the-jobトレーニングコースPCECを毎年開催,救急隊員の約7割が受講し,うち約半数がファシリテーターとなっている。PCECコースでは日本蘇生協議会の『JRC蘇生ガイドライン2015』の脳神経蘇生にも関係するさまざまな症例を取り上げ,意識障害を伴う傷病者に対する観察・問診・処置・病院選定を観察・判断方式で,シナリオ実習・振り返り・講義を通して体験する。アンケートでは参加者の満足度は高く,後の自己学習へとつながり,次回からファシリテーターとして参加する者も多い。ファシリテーターは,救急医・看護師と共に事前勉強会やメーリングリストを通しディスカッションや意見交換を行い,知識やコンセプトを共有している。意識障害傷病者に対する病院前初療の標準化を目標とするPCECコース開催は,脳神経蘇生の普及に有用と考えられた。