2018 年 21 巻 5 号 p. 664-671
背景:救急・集中治療領域を担う薬剤師は,救急初期診療手順や薬剤投与のプロセスに関する知識の習得が求められている。目的:ケースマップ(シナリオを表形式で表現したもの,以下CM) を用いてわれわれが開発した救急初期診療シミュレーション研修の新人薬剤師に対する有用性を検討した。方法:当院薬剤部入職後1〜3年目の薬剤師職員26人を対象に講義とCMを用いた少人数グループ討論(以下,SGD)の研修を4回行った。研修前後における理解度は各回プレテストとポストテストで評価し,また第1回開始前と第4回終了後に意識調査を行い,統計学的に比較検討した。結果:テスト成績は4回とも有意に上昇した(p<0.01)。意識調査において個々の知識についての意識は受講後に有意に上昇した(p<0.01)。結論:救急初期診療に関し,CMを用いた机上シミュレーション研修は薬剤師にとって有用な学習方法となる可能性がある。