日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
病院外心停止に対する今後の気道管理について
田伏 久之当麻 美樹佐野 秀
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2018 年 21 巻 5 号 p. 654-663

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抄録

これまで報告された医学論文を基に,病院外心停止に対する気管挿管(救急救命士による)の効果を検討した。その結果,気管挿管の効果は否定的とする報告が圧倒的に多く,気管挿管がマスク換気に比し病院外心停止の予後を悪化させることが示されていた。その理由として,気管挿管の技量にかかわる問題点,挿管操作に伴う胸骨圧迫中断時間の延長,気管挿管後の過換気による冠・脳灌流障害,搬送時間の遅延,などが指摘されていた。また,気管挿管と声門上器具使用の優劣については,一定の見解が得られていなかった。今後の対策として,異なる3つの意見を列挙すれば,①マスク換気を優先しこれを継続する意見,②気管挿管の技量向上のため,抜本的な救急救命士教育の見直しを図る意見,③現行の気管挿管や声門上器具を効率的に組み合わせる意見,があげられる。救急医療関係者は病院外心停止に対する気道管理について,今後さらなる議論を行う必要がある。

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