2018 年 21 巻 5 号 p. 672-679
目的:くも膜下出血に対して頭部CT-angiography(CTA)は有用とされている。良好なCTAを作成するには十分な脳血管のCT値を得ることが必要である。CTAに対しては低管電圧撮影が有用とされているが,単に管電圧を下げただけでは画像のノイズ量が増加する。くも膜下出血発症時の頭部CTA撮影における低管電圧撮影の有用性の検証を行った。方法:京都科学社製の頭部ファントムを用い,管電圧を80,100,120kvで撮影した。それぞれの管電流値は450,360,300mAである。それぞれCT値,Contrast to Noise Ratio(CNR),Computed Tomography Dose Index volume(CTDIvol)を測定した。また,臨床画像よりCT値,CNR,造影剤到達時間を測定した。結果:管電圧を下げるごとに血管のCT値は上昇した。同等の被ばく線量であれば80kv撮影がもっとも高いCNRが得られた。結論:患者の容態が厳しいくも膜下出血発症時の頭部CTA撮影において低管電圧撮影は有用である。