2019 年 22 巻 1 号 p. 20-26
北里大学病院救命救急・災害医療センターでは,外傷患者において静脈血栓塞栓症(以下,VTE)予防に使用される抗凝固薬のリスク評価が標準化されておらず,多職種での情報共有も効率よく行われていなかった。そこで,救急・集中治療医師,薬剤師,看護師,作業療法士で構成されたVTE事例検討に関するワーキンググループを結成し,過去のVTE発生事例から問題点を抽出した。それら問題点からVTE予防に関する抗凝固薬の適正使用に向けて,投与薬剤の選択・投与基準の標準化を目指した出血リスクスコア表を作成した。さらに,多職種で連携するために職種別アクションプランを作成した。これにより,外傷患者におけるVTE予防的抗凝固薬の出血リスク評価方法が標準化され,多職種の横断的かつ効率的な情報共有および各職種の専門性を活かした多角的な評価が可能となった。