日本臨床救急医学会雑誌
Online ISSN : 2187-9001
Print ISSN : 1345-0581
ISSN-L : 1345-0581
症例・事例報告
救急活動中の脳内局所酸素飽和度測定(脳内rSO2)によって状態悪化を認識できた1例
林 哲也酒井 智彦塩崎 忠彦廣瀬 智也村井 勝大浜 誠一郎上田 宜克越智 聖一大西 光雄嶋津 岳士
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 22 巻 3 号 p. 527-531

詳細
抄録

救急活動における傷病者の観察では,経皮的血中酸素飽和度(pulse oximetric saturation,以下SpO2)が測定不能な場合がある。救急現場における脳内局所酸素飽和度(regional saturation of oxygen,以下脳内rSO2)の有用性の検討を開始したところ,状態の悪化がとらえられたと考えられる1 例を経験したので報告する。症例は40代女性。救急隊接触時,意識レベルJapan Coma Scale(JCS)-3,心拍数160回/ 分,SpO2は測定不能であった。 しかし,脳内rSO2は64%と低値を示し,病院到着時までに意識レベルがJCS-10に低下し,脳内rSO2も病院到着までに59%へ低下するのが確認できた。救急現場においてSpO2による傷病者のヘモグロビンの酸素飽和度を評価できない場合,脳組織のヘモグロビンの酸素飽和度を評価することは有用であると考えられた。

著者関連情報
© 2019 日本臨床救急医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top