日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
人生の最終段階の延長線上で生じた心肺停止に際して心肺蘇生を望まない傷病者への救急隊対応に関する地域MC協議会としての取り組み
当麻 美樹切田 学岡松 伸一河野 誠木村 経彦
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2020 年 23 巻 4 号 p. 579-588

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抄録

「人生の最終段階の延長線上で生じた心肺停止に際して心肺蘇生を希望しない意思を救急現場で示した傷病者に対して心肺蘇生を行わないこと(病院前DNAR)」に関する地域MC協議会の取り組みを報告する。過去5年間の発生件数は270件,発生場所:自宅/ 高齢者介護・福祉施設=156/105。MC協議会管内の在宅看取り施行医療機関のうち,夜間休日も診療可能であるのは51%,看取りの際に他の医療機関(医師)との相互連携体制があるのは29%にすぎなかった。DNARプロトコールは,日本臨床救急医学会の提言に準じているが,かかりつけ医師と傷病者・家族の間での合意形成後に作成されたDNAR指示書の確認を必須とし,「人生会議の結果」としての位置づけを強調した。医学的,医療倫理上の妥当性を担保するためにもDNAR指示書は必要である。その遂行には,かかりつけ医師や高齢者介護・福祉施設の医療体制の充実が必須である。

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