2020 年 23 巻 4 号 p. 589-593
目的:救急外来での自殺リスク評価のためのSAD PERSONSスケールの有用性を評価した。方法:2015〜2018年に産業医科大学病院救急外来を自殺企図で受診した症例を対象とし,主要評価項目はSAD PERSONSスコア合計と精神科入院の関係,副次評価項目はSAD PERSONSスコア各項目と精神科入院の関係とした。結果:対象患者は143症例(女性112例)で,平均年齢42±17歳。47例が精神科医から精神科入院適応と判断された。入院症例のSAD PERSOSスコアは平均4.1±1.4点で,非入院症例3.5±1.6点と比べ有意に高かった(p=0.0095)。副次評価項目は精神病症状,身体疾患の割合が有意に高かった。結論:とくに精神病症状,身体疾患などに留意することで同スケールは,救急外来の自殺企図患者における入院適応の一助となる可能性が示唆された。