2020 年 23 巻 4 号 p. 608-610
症例は妊娠37週の20歳代,女性。自宅で陣痛を発症,本人の訴えから陣痛間隔は3分であったが,かかりつけ病院へ搬送する際,発露状態を確認したため自宅での分娩介助を決断した。発露の段階では,破水は認められず卵膜に包まれた状態であった。会陰の保護をする間もなく卵膜に包まれたまま体幹まで娩出されたが,迅速に卵膜を破り対応ができた。救急隊が分娩に遭遇することは多くはなく,今回のような被膜児分娩(幸帽児分娩)に遭遇した場合の対応についても知っておく必要があるので,文献的考察を含め報告する。