日本臨床救急医学会雑誌
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症例・事例報告
海上保安庁のCPR中止判断基準の運用実態と課題
松窪 将平吉原 秀明
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2020 年 23 巻 4 号 p. 626-631

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抄録

海上では患者の長距離・長時間の搬送という特殊性を有する。そのため,海上保安庁では,平成17年よりメディカルコントロール(以下MC)協議会を設置・運営し,当院も第十管区海上保安本部と協定を結び,海難救助における救急救命士特定行為の指示を行っている。そのなかにはCPR(cardiopulmonary resuscitation)中止判断基準の指示もある。今回,洋上CPA症例へオンライン指示を通じCPR中止判断基準に基づきCPR中止を指示したところ,上陸先の救急隊が海上保安庁と異なる地域のMCのプロトコールに従ったため,再度CPR再開し搬送,搬送先病院で死亡確認された事例を経験した。海上保安庁のCPR中止判断基準はあまり周知されていない。本プロトコールを病院前救護に携わる機関へ広く周知する必要があるため,本事例の報告を行うとともに海上保安庁のCPR実施判断基準プロトコールの紹介を行う。

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