日本臨床救急医学会雑誌
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症例・事例報告
ICUより気管挿管のまま退院し家族の希望する自宅での看取りを行った1症例
一林 亮鈴木 銀河渡辺 雅之山本 咲中道 嘉中村 聡子渕本 雅昭本多 満
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2020 年 23 巻 4 号 p. 620-625

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抄録

はじめに:救急・集中治療の終末期に直面したとき,何が患者・家族にとって最善であるか,対応が難しい場合がある。症例:80歳代,女性。認知症があり,家族が代理意思決定を担っていた。肺炎の診断で入院し第2病日に呼吸状態が悪化,回復の可能性が低いと説明した。家族は気管挿管を希望しICUに入室した。第3病日に状態を受容できるようになり,家族は現行治療の中止,在宅看取り医療を希望した。①家族と多職種で終末期を再確認,②在宅往診医療者と密に連絡,③退院支援看護師が介入し家族の意向を確認,④多職種で患者情報および退院後のリスクを共有,⑤自宅への搬送,手順を家族・医療者間で共有し気管挿管のまま退院し自宅で死亡した。結論:ICUから気管挿管のまま自宅に退院した事例は前例がなかった。救急・集中治療の現場で信頼関係の構築に難渋することもあるが, 頻回に多職種で家族と協議を行い,患者・家族の希望する最後の医療を行った。

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© 2020 日本臨床救急医学会
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