日本臨床救急医学会雑誌
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症例・事例報告
脊髄損傷により胸痛を認めなかった急性心筋梗塞の1例
川井 洋輔藤崎 真也広瀬 由和廣瀬 保夫
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2020 年 23 巻 5 号 p. 722-725

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抄録

急性心筋梗塞は緊急性が高く迅速な治療が求められるが,時に胸痛を認めない症例が存在し診断の遅れにつながる。高齢,女性,高血圧,糖尿病などがリスク因子とされているが,われわれは脊髄損傷後の患者で胸痛を認めず心筋梗塞の発見に難渋した症例を経験した。 50歳代,男性,脊髄損傷のため四肢麻痺と乳頭以下の感覚脱失を後遺し施設入所していた。 嘔気,呼吸困難,痰,頭痛,乏尿を認め経過観察されたが,改善せず救急要請された。心筋梗塞を疑うことができたのは,救急外来到着40分後に心電図検査を施行してからであった。その後,心臓カテーテル治療中に心室細動が持続し,集中治療を行ったものの救命できなかった。脊髄損傷患者は心筋梗塞のリスクが高いという知見が集積されてきているが,複合的な要因により胸痛を認めない可能性がある。高位脊髄損傷患者の原因が明確でない全身症状をみた場合は虚血性心疾患の可能性を考慮するべきである。

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