日本歯周病学会会誌
Online ISSN : 1880-408X
Print ISSN : 0385-0110
ISSN-L : 0385-0110
教育賞
能動学習のための仕掛けを組み込んだオンライン授業におけるグループ討議とピア・ラーニングによる臨床実地問題作成を通した学生の学びに関する検討
大澤 銀子加藤 智崇仲谷 寛
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2022 年 64 巻 4 号 p. 192-198

詳細
抄録

目的:令和2年度の日本歯科大学生命歯学部の臨床実習はCOVID-19の影響により一部がオンライン講義となった。そこで,臨床実習の代替となるような能動学習の効果を期待して,臨床実地問題作成を課題としたオンライン講義を行った。課題実施後に本取り組みにたいするアンケート調査を行い,学生にどのような学びがもたらされたかについて検討した。

方法:本学第5学年の学生124名を7~8名のグループに割り当て,症例を基に臨床実地問題を作成する課題を実施した。課題作成にあたってはグループ討議やピア・ラーニングを通して能動的に学習するような仕掛けを組み込んだ。講義終了後にアンケート調査を行い量的および質的に分析した。

結果および結論:本取り組みの結果,80%の学生は自身の学びになったと考え,自習時間が増えた学生は約60%であった。また,約84%の学生は学生同士の話し合いは,学ぶ上で役立ったと回答した。自由記述による抽出語計量テキスト分析から本取り組みは,「知識の定着」,「知識の補完」,「理解の深まり」,「自ら考える力」を促進する結果となった。また,「他者の意見」を聞くことにより学生は不足していた知識を共有し,学びを深めることができたと考える。

しかしながら,一部の学生は学習に取り組む姿勢が消極的であり,今後,さらに能動学習を促し,学習成果につながるような学習方略を検討する必要があろう。

著者関連情報
© 2022 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top