2021 年 24 巻 1 号 p. 9-15
目的:本研究の目的は,クリティカルケア領域の看護師による「始業前KYTカンファレンス」の効果とその要因を分析し,医療安全に資するか否かを明らかにすることである。 方法:“KYTカンファレンス”で用いた写真に対するコメントを撮影者と“KYTカンファレンス”記録で集計し,インシデントレポート数と比較,分析を行った。結果:コメント数は,写真1枚当たり撮影者1.6±0.95に対して“KYTカンファレンス”2.5±1.36(p<0.001)で,“KYTカンファレンス”を行うことで他者の考えを共有し,危険予知に広がりができた。インシデントレポート数は,“KYTカンファレンス”実施中38,前年50,実施前68,後55であった(p=0.032)。結論:“KYTカンファレンス”の結果,医療安全への関心と,看護師の環境に対する視点の広がりにより,安全行動につながったことでインシデントが減少したことが示唆された。