日本臨床救急医学会雑誌
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症例・事例報告
コハク酸シベンゾリン中毒によりペーシング不全をきたした維持透析患者に対して血液濾過透析が有効と考えられた1例
長田 俊彦廣田 哲也
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2021 年 24 巻 6 号 p. 796-800

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抄録

症例は69歳,男性。併存症は慢性腎不全(維持透析),洞不全症候群(DDD型ペースメーカー留置)。コハク酸シベンゾリン(以下CZ)を約1カ月間内服後に倦怠感と不穏が出現した。来院時,ペーシング不全を伴う高度徐脈と低血糖,高カリウム血症を認めた。高カリウム血症を是正後もペーシング不全と低血糖が遷延したため,CZ中毒と判断して第3,4病日に血液濾過透析(以下HDF)を施行し,以降,ペーシング閾値は低下して低血糖も改善した。初診時の血中CZ濃度は1,294ng/mLと高かったが,各HDF前後で血中CZ濃度は低下した。CZは血液透析による除去効率が低い薬剤とされるが,本症例と同様にHDFが薬物の除去や中毒症状の改善に寄与した報告が散見される。本症例のようにペーシング不全により高度の循環障害を伴うCZ中毒では各臓器での薬物クリアランスの低下も予想されるため,HDFが奏効する可能性があると考えられる。

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