2022 年 25 巻 3 号 p. 568-574
新型コロナウイルス抗体迅速測定キットOne Step Novel Coronavirus(IgM/IgG)Antibody Test(Artron, Canada)(迅速キット)の診断精度を調査した。2019年4月〜6月までCoronavirus disease 2019(COVID-19)感染症が認められなかった時期に当センターへ入院した患者100例(非COVID-19症例)の入院後72時間以内に採取された100血清検体と, 2020年4月〜6月までの間に当センターに重症COVID-19の診断で入院となった6例(COVID-19症例)の入院中の37血清検体を迅速キットで検査した。加えて,ウイルス抗体価をenzymelinked immunosorbent assay(ELISA)法を用いて吸光度を測定し,迅速キットの診断精度を評価した。非COVID-19症例100例中,IgG抗体陽性は6例(特異度94%)であった。6例のウイルス抗体価は6例ともカットオフ値以下であり,6例は迅速キットの偽陽性反応であった。 COVID-19症例6例(37検体)中,IgG抗体陰性は1検体(感度97%)であった。この1検体のウイルス抗体価はカットオフ値以上であった。迅速キットの感度,特異度はともに高かったが,特異度に比較して感度が劣り,偽陽性に注意が必要である。