目的:ウツタイン統計データから,院外心肺機能停止症例の社会復帰率の都道府県間格差に影響を与える地域要因を明らかにする。方法:2006年4月1日〜2015年12月31日の全国ウツタインデータから分析を行った。結果:都道府県における社会復帰率が中央値の6.8%以上と中央値未満の2群で社会復帰率高値群・低値群を従属変数とした多重ロジスティック回帰分析を行い,バイスタンダーによる心肺蘇生法実施率(オッズ比:1.194)および覚知から傷病者接触までの平均時間(オッズ比:0.015)が選択され,ともに有意な結果となった。決定木分析においても,もっとも重要な要因は覚知から傷病者接触までの平均時間(カットオフ値:8.95分)であり,次に重要な要因はバイスタンダーによる心肺蘇生法実施率(カットオフ値:51.05%)となった。結論:覚知から傷病者接触までの時間の短縮とBS-CPR実施率の向上に地域で取り組むことは社会復帰率向上につながる可能性が示唆された。