日本臨床救急医学会雑誌
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症例・事例報告
骨髄異形成症候群に併発した偶発性低体温症による院外心停止の1例
大塚 恭寛米田 宏
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2022 年 25 巻 5 号 p. 865-870

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抄録

症例は骨髄異形成症候群の86歳男性。屋内の寒冷環境下で意識不明の状態で発見され,現着した救急隊員の目前で心肺停止(無脈性電気活動)に陥り,心肺蘇生施行下に当科へ救急搬送された。病着時の心電図波形は心室細動,深部体温は22.6℃で,偶発性低体温症による院外心停止と診断。電気的除細動に引き続き,体幹部表面加温と中心加温(気管挿管下の気道加温,加温輸液,胃・膀胱洗浄)による復温を図りつつ心肺蘇生と二次救命処置を継続し,蘇生開始72分後に自己心拍再開が得られた。血液検査にて高度な貧血を認めた。機械的人工呼吸管理・赤血球濃厚液輸血を含む集中治療下に復温処置を継続したところ,入院6.5時間後に深部体温35.0℃に到達し,意識は清明にまで回復した。播種性血管内凝固症候群,rewarming shock,うっ血性心不全を合併したが,各病態に対する治療が奏効し,第7病日に血液内科へ神経学的後遺症なく転科した。

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© 2022 日本臨床救急医学会
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