2017 年 17 巻 10 号 p. 483-487
食事由来フラボノイドのもつ生理活性がヒトの健康に与える効果について古くから注目されてきた。フラボノイドや他のポリフェノールは吸収後に第二相解毒代謝抱合体,すなわちグルクロン酸抱合体や硫酸抱合体へと代謝されて体内に存在するが,これらの抱合体がどのようにヒトの健康に有益な活性を示すかについては,標的部位や標的分子を含めて明らかにされていなかった。本稿では,ヒト血漿中に見出される主要なケルセチン代謝物であるケルセチン-3-グルクロニドのマクロファージへの特異的な蓄積とこれに引き続いて生じるアグリコンへの脱抱合の分子機構に関する筆者らの近年の知見について解説する。フラボノイド抱合体が特定の臓器や細胞において機能性を発揮する仕組みを理解することは,日常の食事において天然フラボノイドの生理活性をより効果的に活用するための新たな戦略を構築するうえで有用な情報を提供するであろう。