2022 年 25 巻 6 号 p. 930-934
目的:救急隊員にとって,現場活動時の暑熱環境対策はきわめて重要な課題である。本研究では,猛暑対策を目的として,救急隊員の手掌部冷却が現場活動時の猛暑対策によい影響を与えるかを検証した。方法:大学3年生14名を対象として,冷感シートを被験者の両手掌部に貼付した状態で,模擬活動を実施する冷感シート貼付群と未貼付群間の客観的・主観的身体負荷を比較した(外気温28℃,湿度55%)。客観的評価は,被験者の舌下温,前額部温,SpO2値,脈拍数,収縮期血圧の変化,主観的評価は,アンケート調査による被験者の感覚とした。結果:客観的評価で有意差を認める項目はなかったが,アンケート調査において,温冷感(p<0.01),湿度感(p<0.05),快適感(p<0.01)について,被験者は冷感シート貼付時の猛暑に対するよい印象をもっていた。しかし,客観的評価で有意差を認める項目はなかった。結論:救急隊員の手掌冷却は,猛暑時の現場活動を快適にする可能性がある。