2023 年 26 巻 2 号 p. 85-92
目的:二次救急センターにおいて看護師が実践する終末期に向けた意思決定プロセス支援を明らかにする。方法:A病院救急センターに勤務する看護師経験年数5年以上で初療での経験が3年以上の看護師15名を対象に,インタビューガイドを用いた半構成的面接を行い,質的帰納的に分析した。結果:意思決定プロセス支援として,「患者の価値観の尊重」・「意思決定支援のアプローチ」・「終末期治療に関する取り決め」・「継続した支援体制への取り組み」の4カテゴリーが抽出された。結論:時間的制約のなかでも患者の価値観の尊重を基盤とし,患者アセスメントとコミュニケーション技法を駆使して意思決定支援のアプローチを行っていた。また,患者のアドボケイトとして終末期治療に関する取り決めを支援し,意思決定後の家族の揺らぎに寄り添っていた。初回介入が継続した支援体制へとつながるよう多職種と情報共有や記録の徹底,社会資源の調整を行っていた。